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妊娠中絶薬ミフェプリストンって何?日本にはないの?

日本では妊娠22週未満であれば、医師が合法的に人工妊娠中絶を行えることになっています。
中絶する場合には子宮内に器具を挿入し、胎児を掻き出すか吸引する手術を行うのが普通です。
手術には相当の費用がかかるだけでなく、肉体的にも精神的にも大きな苦痛を伴います。
また手術に失敗して子宮に穴を開けてしまったり、感染症にかかったりするリスクもあります。
こうした危険のない中絶方法として、1980年代にフランスで開発されたのが、中絶ピルとも呼ばれる妊娠中絶薬ミフェプリストンです。

ミフェプリストンは開発番号を取ってRU-486という別名もあります。
もともとはRU-38486でしたが、現在では短縮されてRU-486と呼ぶのが一般的です。
妊娠49日以内に服用すれば、胎児は月経とともに膣から排出されて中絶が完了します。
経口避妊薬ピルと同様に、女性が主導してバースコントロールが可能であることから、中絶ピルの呼び名があります。
ただしピルとは異なり、現在のところ医師だけが使用を許可されています。

妊娠を継続するには、女性ホルモンのプロゲステロンが子宮内膜を妊娠状態に保つ必要があります。
ミフェプリストンはプロゲステロンが子宮内膜に結合できないようにします。
その結果、子宮内膜は妊娠前の状態に戻り、月経が起きて胎児が排出される仕組みです。
なおミフェプリストンには排卵を阻害する作用もあることから、避妊薬として使えるという研究もあります。

ミフェプリストンは従来の人工妊娠中絶手術よりも安全とされていて、世界60か国以上で承認を受けています。
しかし日本では承認されず、販売も使用も原則として禁止されています。
承認されている国でも、個人がドラッグストアで買うことはできず、医師の処方がないと使えないのが一般的です。
これは安全性よりも倫理面の理由が大きいと考えられており、現在でも中絶薬に対する強固な反対運動は世界各国で見られます。

妊娠中絶薬には重い副作用があるので日本では禁止

ミフェプリストンで比較的よくある副作用として、吐き気・下痢・めまいなどが挙げられます。
また胎児が排出される際に出血が見られますが、普通は2週間以内に治まります。
しかし血が止まらなくなったり、大量に出血して輸血が必要になるケースも報告されています。
うまく中絶できず、後から手術をしなければならなくなる場合も、数パーセントほどあると言われています。
そのほか感染症を起こすケースも、ごく稀に見られます。

子宮外妊娠にはミフェプリストンの効果がないため、使用禁止になっています。
子宮内避妊具を使用している方、ステロイド剤を服用中の方、腎障害のある方など、禁忌となる場合がいくつかあります。
また出血傾向があったり、アレルギーを持っている方も服用できません。

こうした副作用の危険が大きいことから、日本でミフェプリストンを販売すると薬事法違反になり、使用した人も堕胎罪に問われることがあります。
かつて個人輸入を利用した海外からの購入は認められていましたが、副作用が問題になる事例が多発したため、現在では医師の承認なしに個人輸入することも規制の対象になっています。
厚生労働省のホームページでは、ミフェプリストンを個人輸入しないよう注意喚起を行っています。

海外では多くの先進国はもちろん、中国や台湾でもミフェプリストンは合法化されていますが、日本では合法化に向けた動きもないのが現状です。
避妊薬と違って妊娠中絶薬は、着床した受精卵を廃棄することになるため、簡単に使用してよいかどうかは倫理的に大きな問題です。
また国に承認されていない薬を使って、万が一重い副作用が発生しても、すべて自己責任となってしまうことに注意が必要です。